アジアMOTコンソーシアム(AMC)メンバー校の教員とイノベーション・MOT研究者との交流を深めるために、本シンポジウムではオープニングセレモニー、プレナリーセッションおよびパネルディスカッションをThe 15th International Conference on Innovation and Management 2018と合同で開催した。関門海峡を臨む下関グランドホテルを会場とし、海外102名(15か国)、国内60名の参加があった。オープニングセレモニーでは上西 研 AICセンター長による主催者挨拶、岡 正朗山口大学学長からの歓迎挨拶に続き、文部科学省の玉上 晃審議官を講師に迎え、「Data Science Education and MOT Education for Society 5.0」と題した特別講演が行われた。プレナリーセッションでは災害に強い社会の構築に対するソリューションの一つとして、本学の強みであるリモートセンシング研究を例にとり、衛星データがいかにして人々の暮らしを豊かにしうるのか、またどのようなイノベーションの可能性があるのかについて、三浦房紀山口大学副学長と小山 浩 三菱電機㈱電子システム事業本部 役員技監による基調講演が行われた。また、パネルディスカッションでは、まず、宇宙ビジネスで求められているアプリケーションを題材にとりながら、ビックデータを活用したイノベーションについて意見交換をした。その後、議論を一般化し、伝統的なモノづくり時代の技術経営とビックデータ時代の技術経営の異同点について考え、これからの技術経営者に求められる資質やスキルについて議論した。最後に、そうした人材を育成するためにMOT・ビジネススクールは何をすべきかについて検討した。その後、開催したAMC会合では、4年間のAIC事業の総括とAMCの今後の戦略及び活動計画ついて議論した。その結果、AMCをさらに魅力的にしていくために、AMCメンバーとのMOT教育の連携のみならず、より多くのMOT研究者との戦略的かつ多面的な連携を通じて、研究成果を生み出し続ける基盤を構築することで合意した。閉会式ではAICが主催したInnovative Design Contest 2018 の優秀者を表彰した。
活動の概要
組織・環境の整備と活用
平成30年度
ダナン科学技術大学に遠隔会議・講義システムを設置し、5月に双方向授業の実証実験を実施した。さらに、本事業で整備した遠隔会議・講義システムを活用し、マレーシア工科大学、バンドン工科大学、チェンマイ大学、ダナン科学技術大学およびマラ工科大学と定期的に教材開発、DDプログラムおよび共同研究等の打ち合わせを行うとともにコースシェアの試行を開始した。
平成29年度
本事業で整備した遠隔講義システムを活用し、マレーシア工科大学、バンドン工科大学、チェンマイ大学およびマラ工科大学とコースシェア・コードシェアのための実証実験を開始するとともに、同システムを用いて定期的に教材開発や研究打ち合わせや等を行った。
平成28年度
山口大学の常盤キャンパス,広島教室,福岡教室およびマレーシア工科大学のクアラルンプールキャンパスに設置した遠隔講義システムを活用し、クロスボーダー型PBLプログラム(ブートキャンプ)に必要な基礎知識を修得するためのプレキャンプを11月、ブートキャンプ終了後のフォローアップとしてポストアサインメントを2月に実施した。また、センター活動をより活発にするため、スタッフを大幅に増員した。
平成27年度
マレーシア工科大学やバンドン工科大学等の海外提携大学の協力の下,本事業を担う中核的組織「アジアイノベーションセンター」を本研究科に設置し,プロジェクト担当教員,コーディネーターおよび海外提携大学からの招聘教員等のスタッフを配置した。また,海外連携大学との会議や共同講義等を実施するために,山口大学の常盤キャンパス,広島教室,福岡教室およびマレーシア工科大学のクアラルンプールキャンパスに遠隔講義システムを設置した。
MOT教育コンテンツの開発・改善と教育プログラムの実施
平成30年度
7月にグローバルモビリティプログラム、8月にグローバルエンジニア育成短期プログラムおよび11月にグローバルMOT人材育成短期プログラムの3種類のクロスボーダー型PBLプログラムをマレーシアで実施した。また、留学生向けインターンシッププログラムを新たに開発し、㈱グリーンスタンプ等において協定を締結するとともにインターンシップを実施した。
平成29年度
11月にグローバルMOT人材育成短期プログラム(YUMOT短期海外派遣プログラム)、8・9月にグローバルエンジニア育成短期プログラムの2種類のクロスボーダー型PBL教育をマレーシアで実施した。グローバルMOT人材育成短期プログラムはダイバシティマネジメントをテーマにマレーシア企業の課題解決に取り組んだ。3月にポストアサインメントとして同じ課題に取り組んだマレーシア工科大学の大学院生を山口大学に招聘した。グローバルエンジニア育成短期プログラムは創造設計手法を用い、マレーシア工科大学の学生と共同で新興国の課題解決に取り組んだ。また、5月に留学生向けインターンシップを宇部市役所で実施した。
平成28年度
11月にグローバルMOT人材育成短期プログラム(YUMOT短期海外派遣プログラム)をマレーシアで実施し、2月にポストアサインメントとしてマレーシア工科大学の学生を山口大学に招聘した。また、グローバルエンジニア育成短期プログラムを8月にマレーシア工科大学で、9月にジョクジャカルタ州立大学で実施した。さらに、留学生向けインターンシップを4月~5月に㈱フォー・クオリアで、9月~10月に㈱丸久で実施した。
平成27年度
アジア各国の文化・社会の多様性を理解しながらアジアの人々と協働で有益なモノ・サービス・ビジネスモデルを生み出すための知識とスキルの修得を目的としたグローバルMOT短期プログラム教材を開発し,インドネシアとマレーシアでプログラムを実施した。また,アジアのニーズに基づいた商品企画などの実践的能力を身に付けるためのグーローバルエンジニア育成プログラム教材を開発し,インドネシアとマレーシアでプログラムを実施した。
国際連携講座を中核とした研究活動
平成30年度
ダナン科学技術大学に山口大学ダナン事務所・教室を開設し、5月9日に開設披露式典を開催した。また、9月20日にマレーシアの教育大臣であるマズリー氏の出席のもと山口大学・MJIIT国際連携知財講座の新研究室の完成披露式典を行った。さらに新研究室で活動する「オープンイノベーションと知財」、「M&Aと知財」、「技術移転と知財」の3つの研究チームを発足させた。
平成29年度
国際連携講座に関する山口大学とバンドン工科大学との間のMOAを締結し、新興国における技術経営およびイノベーションに関する教育研究のアジア最高レベルの環境と運営体制を構築した。11月7日にバンドン工科大学で山口大学-バンドン工科大学国際連携講座の開所式典を行い、活動を開始した。
平成28年度
国際連携講座に関する山口大学とマレーシア工科大学マレーシア日本国際工科院(MJIIT)との間のMOAを締結し、世界最高レベルの知的財産データベースをはじめ、知的財産に関するアジア最高レベルの教育研究設備の運営体制を構築した。11月28日にマレーシア工科大学クアラルンプールキャンパスのMJIITビル3階で山口大学-MJIIT国際連携知財講座の開所式典を挙行した。また、2月にバンドン工科大学に国際連携講座設置準備室を開設した。
平成27年度
・本研究科の知的財産マネジメント講座とマレーシア工科大学のマレーシア・日本国際工学院MOT講座が共同で知的財産に関する国際連携講座を設置するための準備室をマレーシア工科大学クアラルンプールキャンパスに開設し,遠隔講義システムの整備等,平成28年度の設置に向けて活動した。
アジアMOTコンソーシアム(AMC)の運営
平成30年度
アジア標準のMOTカリキュラムをAMCメンバー校の教育プログラムとして実装するために、「MOT教育コアカリキュラム」と「MOT教育コアカリキュラム活用ガイドライン」の効果的な活用法と課題について、AMCメンバー校の代表者と意見交換を定期的に行った。また、標準化の一環として、AMCメンバー校が共有・活用するMOTケース教材の標準フォーマット決め、モデル教材を開発した。また、AMCメンバー校との間のコースシェアや単位互換(コードシェア)を行うための制度ついて議論を重ね、運用のための制度を整備した。さらに、MOT標準カリキュラムをベースとした基本プログラムと山口大学の強みを活かした特別プログラムで構成されたDDプログラムをダナン科学技術大学、バンドン工科大学およびマラ工科大学と個別に開発した。
平成29年度
アジアの標準カリキュラムを整備するために、「MOT教育コアカリキュラム」(平成28年度改定版)を効果的に活用するための方法について、アジアMOTコンソーシアムのメンバー校の代表者と意見交換を行った。彼らの意見を文部科学省の高度専門職業人養成機能強化促進委託事業の一環で開発した「MOT教育コアカリキュラム活用ガイドライン」に反映させた。また、シンポジウムと遠隔テレビ会議によりAMCを構成する海外連携大学の間のコースシェアや単位互換(コードシェア)を行うための制度ついて議論を重ね、運用のための基本的な制度を整備した。さらに、教授内容の互換性を高めるため、ケースを中心に教材開発を行った。
平成28年度
6月のシンポジウムでアジアMOTコンソーシアム(AMC)設立の発起大学である山口大学(代表校)、バンドン工科大学、チェンマイ大学、マラ工科大学、ダナン大学の代表者による署名式を行い、その後の総会で規約等を定めた。また、アジアの標準カリキュラムを整備するために、「MOT教育コア・カリキュラム」(平成21・22年度文部科学省助成事業)をベースに改定すべき事項について、アジアの主要ビジネススクールの代表者と意見交換した。彼らの意見を文部科学省の先導的経営人材養成機能強化促進委託事業で受託したMOT教育コアカリキュラム(平成28年度版)に反映させた。
平成27年度
11月に山口県宇部市でアジア各国のMOTスクールのDeanを招聘し,標準カリキュラムを整備等するための組織であるアジアMOTコンソーシアムの設立について議論した。
アジアMOT教育シンポジウム(ISAME:International Symposium for Asian MOT Education)の開催
平成30年度
MOT国際シンポジウムを5月にベトナムのダナン、11月に山口県下関市で開催した。なお、11月のシンポジウムはAMCメンバー校の教員とMOT研究者との交流を深めるためにThe 15th International Conference on Innovation and Management (ICIM2018)と合同で開催した。さらに、山口大学とダナン科学技術大学、バンドン工科大学およびマラ工科大学とのダブルディグリー(DD)プログラムに関する協定書の調印式を行った。
平成29年度
MOT国際シンポジウムを7月に山口県宇部市で、11月にタイのチェンマイで開催した。7月のシンポジウムでアジアMOTコンソーシアム(AMC)のメンバー校である山口大学(代表校)、バンドン工科大学、チェンマイ大学、マラ工科大学、ダナン大学の代表者による標準カリキュラムの普及や教育コンテンツの開発・改善に関する署名式を行った。11月のシンポジウムではMOT教育コアカリキュラムの導入や教育コンテンツの開発・改善について議論した。
平成28年度
アジアMOT教育シンポジウムを6月に山口県宇部市で、11月にマレーシアのクアラルンプールとシャーアラムで開催した。6月のシンポジウムでアジアMOTコンソーシアム(AMC)設立の発起大学である山口大学(代表校)、バンドン工科大学、チェンマイ大学、マラ工科大学、ダナン大学の代表者による署名式を行い、その後の総会で規約等を定めた。11月のシンポジウムではMOT教育コアカリキュラムの改定に関する議論のほか、知的財産に関する最新の研究や事例について情報共有した。
平成27年度
バンドン工科大学と連携し,9月にインドネシアのバンドンでMOTシンポジウムを開催した。大学,行政および産業界から300名を超える出席者があり,MOT標準カリキュラムの重要性等について議論した。さらに11月に山口県宇部市でアジア各国のMOTスクールのDeanを招聘し,MOTシンポジウムを開催した。海外から100名を超える出席者があり,標準カリキュラムを整備等するための組織であるアジアMOTコンソーシアムの設立について議論した。