アジアイノベーションセンターについて
ご挨拶
アジアイノベーションセンター(AIC)は、アジア地域における実践的技術経営(MOT)教育・研究のハブとなることを目指し2015年に設立されました。これは、今後アジアとりわけアセアン地域がイノベーションのホットスポットとなっていくため、こうした地域でイノベーションを目指す人々や組織と積極的に連携し新たな価値を生み出す人材を育成すること、そしてその取り組みを研究対象として知見を蓄積していくことが、今後我が国がアジアにおいてイノベーションをけん引していくための一助となるとの考えに基づいています。
設立時から『アジアイノベーションプロデューサーの育成事業(2015年度から2018年度)』を実施、アセアンを中心としたアジアの有力ビジネススクールを中心としたネットワークを形成しました。
それを基盤として、アジア地域発のオープンイノベーションチャンピオンを育成するための取り組みを実施してきました。この事業では、課題解決学習すなわちPBL(Project Based Learning)をクロスボーダーで行うことを中心に据えて、「技術と経営に関する広い知識」、「国際市場に対する鋭敏な感覚」、「オープンイノベーションをクロスボーダーで推進する力」を有する人材を育成してきました。
この実績をベースに2019年度から『アジアにおける技術経営研究拠点化事業(2019年度から2023年度)』に取組んでいます。この事業は実課題の解決を目的としたプロジェクト研究をクロスボーダーで実践する研究手法PBAR(Project Based Action Research)により、実践的な技術経営の研究を推進するものです。この取り組みでは、従来の狭い専門領域での卓越した人材ではなく、高い学術的コンピタンスに裏打ちされつつ、俯瞰的かつ統一的にイノベーションを理解し実践できる、「創造力」「抽象力」「俯瞰力」を有する技術経営博士を育成していくことを目指してい
ます。
Withコロナ、そして来るべきAfterコロナの時代、イノベーションの世界でもニューノーマルが求められるとAICは考えています。対人接触が限られる中で、イノベーションプロセスのオンライン化とデータサイエンスの活用が急速なスピードで進展することが、我々が現在経験していることだととらえています。こうした観点から、AICでは現在の事業においてこれらの変化が技術経営をどのように変質させるのかについても研究し、その成果を教育の場へとフィードバックすることを目指しております。
今後ともAICはアジアのパートナー校とともに、アジアにおいてイノベーションを志す方々や組織に実践的な知見を提供すべく活動してまいります。
アジアイノベーションセンター長
松浦 良行